わたし達が知っている「しごと」にはちょっとゆかいな物語がある。日々のてまひまは、障害のある人が作った良いモノとそのストーリーをお届けします。
とわ・え・もあの「カリッこげんまい」は、健康志向の人や小さな子どもがいる家庭で人気の商品です。それは無農薬栽培の福岡産の玄米を使い、無添加・ノンフライで作っているから。砂糖も食塩も、保存料も着色料も使わない、シンプルで安心して食べられるスナック菓子として好評を得ています。近年の玄米食そのものへの関心の高まりと同時に、口コミで広がってきました。
「カリッこげんまい」の原料となる玄米は、化学肥料と農薬を使わずに米を育てている地域の農家から、直接仕入れています。それをとわ・え・もあで働く利用者のみなさんが加工し、福岡市内を中心とした健康食品店や地域のショップ、直売所やホームページで販売。常連の顧客ともなると、顔や名前が一致する人も多くいます。「余計なプロセスを挟まずに、商品を通して人がストレートにつながっている感じが、いいなと思います」とスタッフの青栁博也さん。このシンプルさが「カリッこげんまい」らしさなのかもしれません。
お米の選別から加工、パッケージの印刷やシール貼り、パッキングや検品、発送に至るまで、製造販売のすべての行程に利用者が携わっています。得意な作業を担当したり、やったことのない作業にチャレンジしたり。自分たちが作っているものが、どのような注文があってどこに送られているかを知ることは、とても励みになっています。
ある人は、カリッこげんまいを火にかけ、のりしおを加えて鍋を振り、「のりしおげんまい」を作るのが大好きなのだそう。自分が微調整することで、見た目や味が変化することが楽しくて、休憩返上で作業するほどの熱中ぶり。「やっぱりものを作ることには、純粋な楽しさがあります」とスタッフの草場麻美さん。
玄米スナックは、さらに進化中。黒糖をまぶしたかりんとうや、細かく砕いたパン粉替わりのフライ用揚げころもなど、用途も広がってきました。現在の注目株は、健康志向が高まるペット用のおやつだそうです。
青柳さんのイチオシは、サクサクの玄米パフに濃厚なキャラメルバターをまぶした最新作の「キャラポン」。「手が止まらないくらいおいしいのですが、結構手間がかかります。キャラメル掛けしたものを熱々の状態でほぐすのが大変で、当初は一日に30袋作るのが精一杯でしたが、ある時1か月で1000個あまりの注文が入って。みんなで一気に作った経験で、製造能力がアップしました」とのこと。
とはいえ、売れさえすればいいと考えているわけではありません。製造能力を上げることには挑戦しているものの、「はたして作っているわたしたちに喜びはあるか?」という視点を忘れず、仕事量とのバランスをとることを大切にしています。青柳さんは「福祉のためにはお金が必要。しかしそのお金が『誰のためになっているか』ということには自覚的でありたい」と話します。
とわ・え・もあでは、月に一度の食事会の日を設けています。みんなで旅館に出かけて海鮮丼を食べたり、フレンチのレストランに出かけたり。先日は発酵玄米で鶏の唐揚げのような味わいを生み出しているレストランでの食事を楽しみました。「まるでお肉のようなおいしさで、みんなびっくり。ヴィーガンやグルテンフリーなど、食に対するニーズは日々変化しています。玄米はその大きな一端を担える可能性を感じています」と青柳さん。
草場さんも「保存性が高くて非常食としても優秀。スープや味噌汁をかけるだけでお粥があっという間にできますし、ふやかせば離乳食にもぴったりです。嚥下が難しくなってきた高齢の方には、食事に自然なとろみを付けることもできます。工夫次第でもっと玄米スナックには活躍の場が増えそうです」とその可能性について話してくれました。
とわ・え・もあは、福岡市西区の山や川にもほど近い田んぼに囲まれた自然たっぷりの環境にあります。カフェも併設され、地元の人も訪ねやすい造りです。「食という、人として肝心かなめなものに携わっているからこそ、人と人がつながることができるような場所にしたいですね。利用者のみなさんにも『こんな場所で働きたい』と改めて感じてもらえる場になれば」。
食の志向が変化している現代において、まだまだたくさんいるはずの潜在的な顧客と出会うため、「カリッこげんまい」は大きな可能性を秘めています。なによりおいしいので、ぜひこの機会に!
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