わたし達が知っている「しごと」にはちょっとゆかいな物語がある。日々のてまひまは、障害のある人が作った良いモノとそのストーリーをお届けします。
世界中を新型コロナウィルスが席巻した3年前。「NPO法人オレンジ」では、外でイベントができなくなったことを補うため、新たに収益を上げる方法を探していました。そこで目をつけたのが、ワッフルでした。「就労支援施設に関わらず、佐賀にはワッフル屋さんがなかったので」と製造担当の渡邊さん。
目指すものに近いワッフルを作っていた関東のお店に学びに行き、いざワッフルづくりが始まりました。
作るのは、定番のものと佐賀らしいもの。今回の日々のてまひまでは、プレーン、チョコチップ、シナモンに加え、地元のえごまを使っています。特にこだわっているのは食感。バターたっぷりの豊かな風味もおいしさの秘密です。外カリッ中モチッの食べ心地を実現するために、助成金を申請してドイツ製ワッフルマシンも導入し、さらにおいしさがアップしました。
オレンジでは福祉の世界に閉じず、「世の中にたくさんあるスイーツの中で選ばれるもの」を目指しています。そのためにはブランディングも重要。佐賀県が行う「デザイン等魅力向上事業」に参加し、地元らしさを感じられるよう商品名は「サガッフル」に。パッケージやポップアップショップのデザインは、佐賀で活躍するデザイナー・シムアットデザインラボの嶋立さんに依頼しました。
もちろん障害のある利用者が仕事をしやすい仕様にしています。ワッフルのシズル感を伝えつつ、種類がひと目で分かるよう色分けし、貼りやすいシールのデザインを採用しました。「デザインがかわいくて、買いに来ました」といううれしい声もあるそう。
月に2回程度は、市役所やマルシェ、雑貨市など、積極的に外での販売を行っています。これも一般のお客さまとの接点を増やして、サガッフルの存在とおいしさを知ってほしいから。利用者のみなさんも、実際に購入して感想を伝えてくれるお客さまとの交流を通して、自信を持って販売できるようになります。
利用者の一人、小宮さんはよく店頭に立って販売を担当しています。「高齢の方から小さい子まで、買いに来てくださるのはうれしいです」。ちなみに小宮さんオススメのあんこは、店頭のみでの販売なので、見かけたらぜひ買ってみてください。
コツコツとイベントに出続け、様々なイベントに呼ばれる機会も増えました。人脈も広がり続けています。渡邊さんに次なる目標を尋ねると、「ワッフルの専門店を作りたいんです!」と即答。由来のわかる原材料を使い、丁寧に一つひとつ手作りした本格派。わが子のようなワッフルをもっとたくさんの人に味わってほしいと、日々楽しく仕事をしています。
嶋立 久人
シムアットデザインラボ 代表
嶋立:僕は佐賀でデザイン業に携わっています。たまたま県からの広報でこの事業を知り、参加してみたいと手を上げました。県にマッチングしてもらい、オレンジさんとの仕事が始まりました。
最終的には、ワッフルとポップコーンのラベル、パッケージ、販促用のチラシ、出店時ののぼりやテーブルクロスを制作しました。
嶋立:オレンジさんは、福祉の業界に留まらない、幅広いマルシェやセレクトショップでの取り扱いを希望されていました。「どこかに佐賀らしさを入れたい」「フレーバーの種類がぱっとわかるようにしたい」という希望を元に、「サガッフル」というネーミングや、透明の袋に入った商品に色違いのシールを貼るという仕様を考えました。
嶋立:デザインをすると同時に、「施設内での仕事を作る」という発想で作りました。この仕様では、シールを「切って」「はいで」「貼る」という作業が生まれます。利用者のみなさんの取り組みやすい作業を、担当者と検討しながら仕様に盛り込みました。シールを採用することでパッケージ自体のコストも下がり、同じ金額で発注できる量も増えました。
嶋立:おかげさまで売上は少しずつよくなってきていて、出店する意欲にもつながっていると聞きました。将来は専門店を出店したいという希望もお持ちなので、今回のデザインの延長線上で、お店の内装デザインにも携わることができればうれしいですね。
嶋立:予算の内容によって、組み方が難しい項目があると気づきました。例えばワッフルマシンの導入などで助成金の枠を探して来られるのはとても上手いのですが、今回作ったシールのように、一度にたくさん作って年度をまたぐような消耗品の計上は、慣れていないと聞きました。
今回外部デザイナーである僕との仕事で、予算の組み方などを新たに検討していただくきっかけになったように思います。
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今後全国展開させていきたいと思っておりますので、
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