わたし達が知っている「しごと」にはちょっとゆかいな物語がある。日々のてまひまは、障害のある人が作った良いモノとそのストーリーをお届けします。
島原半島雲仙岳の麓に位置するコロニーエンタープライズでは、昔ながらの手延べ製法によるそうめんづくりが行われています。工場内で乾燥を待つそうめんの様子は、まるで真っ白なすだれのよう。原料の小麦にもこだわり、しなやかでコシがあっておいしいと評判です。そうめんづくりのノウハウを活かしたうどんやラーメンなどの商品開発もさかんで、最近では話題の低糖質麺も手掛けています。
ここでは46名の知的ハンディキャップのある従業員と、11名の支援員が一緒に働いています。なんと一日に1トンもの小麦を使用して、日々商品を製造しています。
無理なくよい商品を作るために、従業員のみなさんの特性を見極め、相談しながら仕事が行われます。支援員の橋本さんによれば「例えば自閉症の方は、変化が苦手な傾向がありますが、それは 仕事上では“変化に気づく”というプラスの能力でもあります。また手先が器用で集中力が持続するため、コツコツとした麺作りの仕事に向いているという方も多いんです」とのこと。
コロニーエンタープライズを運営する社会福祉法人南高愛隣会は、農業によっても地域とつながっています。自分たちの畑でアスパラガスやブロッコリーを育てて出荷する以外に、繁忙期には地域の農家へ手伝いにでかけることも。高齢で作業が思うように進まない農家にとっては、心強い戦力です。人口減に伴って日本中で働き手が減っていく中、障害のある人たちと一緒に働ける環境を作るということは、実は働き手が増えるということでもあります。
南高愛隣会では障害のある人が恋愛をし、結婚をし、一緒に暮らすことのサポートをしています。最初に聞いた時は驚きましたが、考えてみれば、今までなかったことが不思議です。また南高愛隣会には、自主性に任せたクラブ活動(のようなもの)が多くあり、休みの日は釣りや書道、絵画やソフトボールなど、各々好きなことをして過ごしています。
これまで紹介してきたことは全て、会が目指す「ふつうの場所で、愛する人との暮らしを」という考えを体現したものだと言えるかもしれません。
商品をより多くの人に知ってもらい販路を広げる活動を続けていますが、それは従業員の賃金をアップすることにつなげるため。障害のある人達の働く場が増え、より多くの収入を得られることは、社会保障の上でも重要なことです。
さらに橋本さんは、もう一つ大きな意義があると話します。それは「地域の産業を継承する」こと。このあたりは、日本における手延そうめんの一大産地ですが、他の多くの地域同様、働き手不足に悩んでいます。ここで仕事を続けることが、昔からの手延べの技術を継承することにもつながっています。
さて、そうめんづくりの現場では、製麺技能士という国家資格を持った支援員が働いていますが、いま障害のある従業員の中にも、国家資格を目指している人がいます。実技試験は文句なしの実力で合格し、取材時点で学科試験の結果待ち。
「技術に精通したスタッフが増えることは、商品の説得力を増すことにもつながるし、働くみんなのモチベーションもアップします」と話すのは、営業担当の外山貴之さん。
コロニーエンタープライズのそうめんは、パワースポットとしても知られる岩戸神社近くの「岩戸観光ガーデン」で、4〜9月には流しそうめんとして食べることができます(新型コロナ等の影響により変更あり)。これが清々しい空気と相まって、またおいしい!
橋本さんは「さぬきうどんが製麺所の一画で食べられるように、工場近くでツルッとそうめんが食べられるような場所をつくりたいですね」と展望を語ります。
今回「日々てま」では、コロニーエンタープライズで作られたそうめんはもちろん、ラーメンやうどんなど幅広いランナップから購入することができます。昔ながらの手延べの技術を活かした、なめらかな喉ごしとコシの強さが魅力です。
外山さんによれば、擦りゴマだけでなく煎りゴマをたっぷり練り込んだ「黒胡麻素麺」や「黒胡麻饂飩」は、リピーターも多い人気アイテムだそう。ぜひこの機会にお試しください。
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2021年度に関しては、九州圏内の企業・団体様のみ利用可能となりますが、
今後全国展開させていきたいと思っておりますので、
もしご興味持っていただけましたら、お問い合わせいただけますと幸いです。